「エステサロンを開業したいけど、結局いくら必要なの?」
「美容機器が高すぎて、本当に元が取れるか不安…」
「フェイシャルエステって保健所への届出は必要?」
1〜4人規模のエステサロン開業を考える方にとって、資金計画の見通しが立たないことは最大の不安要素です。実際、エステサロンの約40%が開業1年以内に廃業しており、その多くが「資金計画の甘さ」と「法規制の理解不足」に起因しています。
一方で、2026年のエステ業界は市場規模3,046億円と底打ちの兆しを見せており、小規模サロンにとってはチャンスの年でもあります。
この記事では、2026年最新のデータに基づき、エステサロン開業に必要な資金の全体像を形態別に徹底解説します。
【結論】エステサロン開業資金の総額目安
まずは結論から。開業形態別の初期費用は以下の通りです。
開業形態 | 初期費用(税込) | こんな方におすすめ |
|---|---|---|
自宅サロン | 50〜200万円 | 最小リスクで始めたい方 |
マンション型(1K〜1SLDK) | 200〜500万円 | 隠れ家サロンを目指す方 |
テナント型(路面・商業ビル) | 800〜1,500万円 | 本格的に拡大を目指す方 |
シェアサロン | 10〜50万円 | まずは副業で試したい方 |
ドライヘッドスパとの大きな違いは、エステサロンでは美容機器への投資が初期費用の20〜30%を占める点です。フェイシャル用の美顔器やボディ用の痩身機器は1台100〜300万円するものもあり、この選択が収益構造を大きく左右します。
ドライヘッドスパの開業資金については「ドライヘッドスパ開業資金ガイド【完全版】」で詳しく解説しています。
初期費用の内訳を徹底解剖
エステサロンの初期費用は、大きく6つのカテゴリに分けられます。
1. 物件取得費(全体の20〜30%)
物件取得費は開業形態によって大きく変動します。
費目 | テナント | マンション | 自宅 |
|---|---|---|---|
敷金・保証金 | 家賃の6〜10ヶ月 | 家賃の3〜6ヶ月 | 0円 |
礼金 | 1〜2ヶ月 | 0〜2ヶ月 | 0円 |
仲介手数料 | 1ヶ月 | 1ヶ月 | 0円 |
前家賃 | 1ヶ月 | 1ヶ月 | 0円 |
テナントの場合、保証金だけで家賃の6〜10ヶ月分が必要です。家賃20万円なら120〜200万円が物件契約だけで消えます。
2. 内装工事費(全体の30〜40%)
エステサロンはドライヘッドスパと異なり、シャワー室の有無で水道工事費が大きく変動します。
工事区分 | 費用目安 | ポイント |
|---|---|---|
スケルトン工事 | 300〜500万円 | 自由度高いが最もコスト大 |
居抜き物件活用 | 100〜250万円 | 前エステサロンの設備を流用 |
自宅改装 | 30〜100万円 | 生活空間との分離がカギ |
投資すべきポイント:
- 施術ルームの防音と空調(リラックス空間の質=リピート率に直結)
- シャワー・洗面設備(ボディエステには必須)
- 照明の調光機能(非日常の演出)
3. エステ機器・美容機器代(全体の20〜30%)
エステサロンの「心臓部」であり、最も判断が難しい投資です。
機器カテゴリ | 価格帯(税込) | 用途 |
|---|---|---|
痩身複合機(キャビ・RF・EMS等) | 120〜280万円 | ボディ痩身の主力機器 |
フェイシャル美顔器 | 50〜150万円 | リフトアップ・美肌ケア |
脱毛機(THR・SHR方式) | 150〜300万円 | 脱毛メニュー追加用 |
AI肌分析機 | サブスク型もあり | カウンセリングの客観化 |
ベッド・スチーマー等 | 20〜50万円 | 基本設備 |
2024年のハイフ(HIFU)規制後、RF(ラジオ波)やEMSを高度化した機器への需要がシフトしています。ハイフはエステサロンでは使用できなくなったため、機器選定の際は必ず確認してください(詳細は後述)。
4. 備品・消耗品(全体の5〜10%)
項目 | 費用目安 |
|---|---|
ベッドシーツ・タオル類 | 5〜15万円 |
ガウン・スリッパ | 3〜5万円 |
業務用化粧品(初回仕入れ) | 10〜30万円 |
カウンセリング机・椅子 | 5〜10万円 |
ワゴン・収納 | 3〜5万円 |
5. 広告宣伝費(全体の5〜10%)
項目 | 費用目安 | 特徴 |
|---|---|---|
ホットペッパービューティー | 月額数万〜数十万円 | 即効性あり、依存リスクも |
自社サイト構築 | 10〜50万円 | SEO・MEOの土台 |
ロゴ・名刺・ショップカード | 5〜15万円 | ブランディングの第一歩 |
SNS広告(初期3ヶ月分) | 15〜30万円 | Instagram中心 |
6. 運転資金(自己資金の10〜20%)
開業後3〜6ヶ月は赤字が続くことを想定し、固定費の3〜6ヶ月分を別途確保しておくことが鉄則です。
2026年版エステ機器の選び方と価格帯
機器選定は「メニュー構成」と「投資回収計画」をセットで考える必要があります。
ハイフ規制後の機器トレンド
2024年6月の厚生労働省通知により、エステサロンでのハイフ(HIFU)施術は事実上違法となりました。超音波を一点に集中させて細胞に熱凝固を起こす行為は、機器の出力を問わず「医行為」に該当します。
この規制を受け、2026年のエステ機器市場ではRF(ラジオ波)とEMSを組み合わせた複合機が主流となっています。
リース vs 購入 vs 中古の判断基準
方式 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
現金購入 | 金利負担ゼロ、資産計上可 | 手元資金が大幅減少 |
リース | 月々3.8万円〜で導入可能 | 中途解約不可、総額は購入より高い |
中古購入 | 新品の50%以下で入手可能 | メーカー保守なし、最新技術非対応 |
開業時の推奨:メイン機器1台を新品(またはリース)で導入し、サブ機器は中古で揃える「ハイブリッド戦略」がコストパフォーマンスに優れます。
エステサロン開業に必要な届出・法規制【2026年最新】
エステサロン経営では、法規制の理解不足が営業停止や損害賠償リスクに直結します。ここは必ず押さえてください。
保健所届出は必要?
原則として、フェイシャルエステのみの場合は保健所への「美容所登録」は不要です。
ただし、以下の行為を行う場合は美容師免許と美容所登録が必須となります。
- まつ毛エクステ・まつ毛パーマ
- メイクアップや整髪を伴うサービス
- シャンプーを伴うヘッドスパ
自治体によって判断が異なるケースもあるため、開業前に管轄の保健所に確認することを強くおすすめします。
届出・資格の詳細については「リラクゼーション・エステサロン開業に必要な届出・資格・手続き完全ガイド」も併せてご覧ください。
ハイフ(HIFU)規制の要点
2024年6月7日の厚生労働省通知(医政発0607第1号)のポイント:
- ハイフは出力を問わず「医行為」に該当
- 医師免許のないエステティシャンが照射すると医師法第17条違反(刑事罰の対象)
- 「医師と提携している」「医療機関監修」でも、非医療従事者の施術は違法
特定商取引法(回数券・コース契約のルール)
回数券やコース契約を販売する場合、以下の条件を両方満たすと「特定継続的役務提供」に該当します。
- 期間:1ヶ月を超えるもの
- 金額:5万円(税込・入会金含む)を超えるもの
事業者の義務:
- 書面交付(概要書面+契約書面)
- クーリング・オフ対応(契約から8日以内は無条件解約)
- 中途解約権の保証(違約金の上限あり:提供済み代金+2万円 or 残額の10%のいずれか低い方)
景品表示法(広告表現の注意点)
ビフォーアフター写真は強力な集客ツールですが、撮影条件(照明・角度・表情)を変えて過大な効果を暗示すると「優良誤認表示」とみなされるリスクがあります。
NG表現の例:「シミが消える」「痩せる」「細胞を活性化する」
OK表現の例:「肌を整える」「美肌をサポートする」「マッサージ効果による一時的な引き締め」
資金調達の3つの柱
エステサロン開業では、自己資金だけでなく公的融資を組み合わせて十分な運転資金を確保することが生存率を高めるカギです。
1. 日本政策金融公庫(新創業融資制度)
最も一般的かつ信頼性の高い調達手段です。
項目 | 内容 |
|---|---|
融資限度額 | 3,000万円(うち運転資金1,500万円) |
金利 | 2.30〜4.90%(基準金利) |
女性起業家優遇 | 0.4〜0.9%の金利引き下げあり |
担保・保証人 | 原則不要 |
自己資金要件 | 創業資金の1/10以上(実務上は1/3程度で審査通過率向上) |
審査のポイント:「自己資金の蓄積過程」が最重視されます。毎月コツコツと積み立てた履歴が「計画性」の証明になります。見せ金(一時的な借入)は見抜かれます。
2. 自治体の制度融資
都道府県・市区町村と信用保証協会が連携した融資制度です。
- 名古屋市:「新事業創出資金(創業)」で信用保証料の補助あり
- 愛知県:「創業等支援資金」として低利の融資枠を提供
- 公庫より低金利(1%台〜)の場合もあるが、着金まで2〜3ヶ月かかる点に注意
3. 女性起業家向け補助金の活用
返済不要の補助金を組み合わせることで自己負担を軽減できます。
小規模事業者持続化補助金:
- 通常枠:最大50万円
- 創業枠等:最大200万円
- 活用例:HP制作、店舗改装、エステ機器導入、チラシ配布
注意点:採択後の後払い方式のため、一時的な資金繰りの確保が必要です。
自己資金比率の目安
推奨は開業資金の30%。例えば総額600万円の開業なら、200万円の自己資金+400万円の融資というバランスが理想的です。
形態別・収支シミュレーション
感覚的な運営ではなく、数値に基づいたシミュレーションが経営の生命線です。
マンション型(1〜2人):月商120万円モデル
項目 | 金額 | 売上比率 |
|---|---|---|
月商 | 120万円 | 100% |
家賃・共益費 | 12万円 | 10% |
人件費(自分含む) | 40万円 | 33% |
広告宣伝費 | 15万円 | 13% |
材料費・光熱費 | 12万円 | 10% |
営業利益 | 41万円 | 34% |
エステサロンの粗利益率は80〜90%(材料費は売上の10%程度)と非常に高いのが特徴です。
テナント型(3〜4人):月商300万円モデル
項目 | 金額 | 売上比率 |
|---|---|---|
月商 | 300万円 | 100% |
家賃・共益費 | 45万円 | 15% |
人件費(自分含む) | 105万円 | 35% |
広告宣伝費 | 45万円 | 15% |
材料費・光熱費 | 30万円 | 10% |
営業利益 | 75万円 | 25% |
損益分岐点の計算方法
$$損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率$$
例えば、固定費が月50万円、変動費率が10%(限界利益率90%)の場合、約55.6万円が損益分岐点です。これを超える売上がすべて利益になります。
開業後のキャッシュフロー推移
期間 | 状態 | 月商目安 |
|---|---|---|
1〜3ヶ月(導入期) | プレオープン、SNS先行募集 | 30〜50万円(赤字) |
4〜6ヶ月(認知期) | リピート客が定着し始める | 80〜120万円(損益分岐点到達) |
7〜12ヶ月(安定期) | 回数券更新・物販の定着 | 150〜250万円(黒字安定) |
1人サロンの利益率を最大化する戦略については「1人サロンの利益率を最大化する経営術」で詳しく解説しています。
開業コストを抑える5つの節約術
1. 居抜き物件を最優先で探す
前のエステサロンの設備(個室の仕切り、給排水、シャワー等)が残っていれば、数百万円単位のコスト削減が可能です。ただし、前店舗の評判が悪い場合はイメージを引き継ぐリスクもあるため、閉店理由の確認は必須です。
2. 中古機器の賢い活用
良質な中古エステ機器は新品の50%以下で入手可能です。美容機器専門の買取・販売業者(保証付き)を利用しましょう。ただし、メーカー保守が受けられない場合があるため、購入前にメーカーへの確認が必要です。
3. 最小構成150万円スタートモデル
「いくらあれば始められるか?」の答えは約150万円です。
- 自宅・マンション型(敷金礼金):50万円
- 中古多機能美顔機+ベッド+備品:50万円
- HP・SNS広告・運転資金:50万円
この構成で月商50〜80万円を達成し、利益を次の機器投資に回す成長モデルが現実的です。
4. 補助金は「つなぎ資金」を確保してから申請
小規模事業者持続化補助金は後払いです。採択から入金まで数ヶ月かかるため、先に自己資金で立て替える必要があります。融資と補助金を同時並行で申請する戦略が有効です。
5. 広告費ゼロスタート(SNS × MEO)
ホットペッパービューティーに頼らず、Googleビジネスプロフィール(MEO対策)とInstagramを徹底すれば、広告費ゼロでの集客も可能です。
MEO対策の具体的な方法は「サロンのGoogleビジネスプロフィール完全ガイド」で詳しく解説しています。
2026年エステサロン開業で差をつける3つのトレンド
1. AI肌分析でカウンセリングを客観化
主観的なカウンセリングの時代は終わりつつあります。AIによる高精度な肌解析技術を導入すれば、シミ・シワ・毛穴の状態を客観的に数値化でき、施術提案の説得力が格段に上がります。物販売上の向上にも直結します。
2. サブスクリプション型メニューで月商を安定化
「都度払い」や「高額ローン」への抵抗感が強い層に向け、月額定額制メニューの導入が進んでいます。月商の予測可能性が高まり、経営が安定します。
サブスク導入の具体的な方法は「サロンのサブスク導入ガイド」をご覧ください。
3. メンズエステ市場の取り込み
男性のエステ利用は増加傾向にあり、既存サロンにとって大きなチャンスです。曜日限定のメンズデー設定やカップルメニューの追加が有効な戦略となります。
まとめ:エステサロン開業成功の7つの鉄則
- 形態選びは「損益分岐点」で決める:家賃が高い=良い立地、ではない
- 機器投資は「回収計画」とセット:1台あたりの月間売上を事前に試算
- ハイフはNG、RF/EMSを選ぶ:2024年規制を必ず確認
- 自己資金30% + 公的融資で安全に:運転資金は固定費の6ヶ月分
- 回数券・コース契約は特商法を遵守:書面交付とクーリング・オフ対応を徹底
- スモールスタートで生存率を上げる:150万円から始めて利益で拡大
- 集客はMEO × SNSから:ポータルサイト依存から脱却
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よくある質問(FAQ)
Q1. エステサロン開業に資格は必要ですか?
A:フェイシャルエステやボディエステの施術自体に国家資格は不要です。ただし、まつ毛エクステには美容師免許が必須です。また、日本エステティック協会の認定資格を取得しておくと、顧客からの信頼度が向上します。
Q2. フェイシャルエステに保健所届出は必要ですか?
A:原則として不要です。ただし、まつ毛エクステやシャンプーを伴うサービスを行う場合は美容所登録が必要です。自治体によって判断が異なるため、開業前に管轄の保健所へ直接確認することを強くおすすめします。
Q3. 自宅サロンでも融資は受けられますか?
A:はい、日本政策金融公庫の新創業融資制度は自宅サロンでも利用可能です。ただし、自己資金比率(推奨30%)と事業計画書の具体性が審査のポイントになります。
Q4. エステ機器はリースと購入どちらがお得ですか?
A:月々のキャッシュフローを重視するならリース、総支払額を抑えたいなら現金購入が有利です。おすすめは「メイン機器は新品(またはリース)、サブ機器は中古」のハイブリッド戦略です。
Q5. 開業から黒字化まで何ヶ月かかりますか?
A:立地や集客力によりますが、一般的には4〜6ヶ月が目安です。それまでの運転資金として固定費の6ヶ月分を確保しておくと、資金ショートのリスクを最小化できます。
参考文献・出典
- 矢野経済研究所「エステティックサロン市場に関する調査」(2025年)
- 厚生労働省 医政発0607第1号(2024年6月7日)
- 日本政策金融公庫「新規開業資金」金利情報(2025-2026年)
- 消費者庁「特定商取引法ガイドライン」
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